心地よい風
冬の晴れ間の、何とも言えず心地よい風が吹いてくるときがある。日差しも何だか気持ちよく、どこか懐かしい感じもして、そんなとき、時間も普段よりゆっくりと流れている。
ちょうど、平日の勤めが終わり、日曜日を何もせずにゆっくりと過ごしているような、長閑な感じとも言えるかもしれない。
このような感じは、暑い夏が過ぎて、やっと涼しげな風が頬を撫でるときのようでもあるし、寒い冬が終わり、春先の生暖かい風が吹くときにも、何とも穏やかな、平和な感じを体験するものである。
これらは、やはり、厳しい自然を通り越したあとの、ちょっとしたご褒美なのかもしれないと思った。だから、私は、このような生暖かい風が好きだ。
そんなときは、特に何をするというわけでなくとも、何だか幸せなひとときを過ごしている。それが、私の幸せの形である。
無心になりながら、何をするわけでなく、ぼうっとしている。そんな時間が私は好きだ。ただこの自然、気候を感じているだけだ。
これは、仕事中にも訪れることがある。最近感じたのは、屋根の上を塗装しているときだった。屋根の塗装は、とくに何を考える必要もなく、無心になれるから、そんな時、暖かな日差しと共に、その雰囲気はやってきた。
24時間、それがあるわけではない。本当に、たまにあるから、貴重なのであって、四六時中、そんな穏やかなことばかりあったって、有り難みは感じなかったことだろう。誰しも、そんな経験はあるだろうと、私は思う。そんな穏やかな稀有な時間が。
そんな経験を積み重ねるたびに、人は何とも言えぬ穏やかな性格を獲得していくのだろうと、私は思った。
daivamprema
2020.12.29