ダルシャン、そして初めてサイババの御講話を聞く

 サイババ(スワミとも呼びます)が、まるで太陽が東から昇ってくるように、ゆっくりと皆の前に現れて歩かれます。オレンジのローブは、まるで朝日か夕日のようです。日を追うごとに、ダルシャン(神のお姿を拝謁すること)は、だんだんとサイババが近くで見られる位置に座れていくようでした。

 私がサイババを初めて見たとき、涙があふれていました。オレンジ色の三角スカーフを肩に掛けていますが、それで涙を拭きました。とても清められた気がしました。涙を拭いた三角形のスカーフは、今でも手元に残っています。

 ひととおり皆の前を歩かれながら、手紙を受け取ったり、手を回してビブーティを物質化して人にあげたりします。すべての人が、サイババに向かって手を合わせて見つめています。また、前の人は、手紙を受け取ってもらおうと、手を伸ばします。

 歩かれたあとはステージのほうに向かわれ、ステージ中央の椅子にお座りになります。皆がバジャンを捧げます。サイババはじっと座って、こちらのほうを見ています。右手の人差し指で、何かを書くような仕草をされたり、お顔の右側のこめかみ辺りに人差し指を当てて、じっとしておられたりします。

 その、こめかみに手を当てる姿が、私には受話器で電話をしているようにも見えました。そして、「真剣に神に祈るとき、直通電話のように神に届く」という言葉が思い出されました。
 
 5月30日は、いよいよサイババの御講話を間近で見る機会を得ることができました。とにかく、力強く、慈愛に満ちたお顔でお話になります。私は、斜め右側のほうから見ていました。サイババの横顔を見ながら、母親のようだと思いました。その時、両方の眼から、また涙があふれていました。

「母親のごときみ顔に語られしスワミの講話に涙やまざり」

「ダルシャンを終へてしばらくサイババの御姿静かに瞑想してをり」

「真実を確立せむと化身されしサイババの御姿思ひつつ寝る」

 私はこの旅行を題材に、当時、短歌も作っていました。

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オレンジのスカーフ

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サティア アナヴェーシャン 真実の探究